【よくある質問】もっと知りたい!会社の健康診断・所見ありの対応や福利厚生としての活用を社労士が解説
前回に続き、会社の健康診断パート2です!基本的な事項を押さえた後に出てくる疑問と言えば『所見あり』の対応。従業員の平均年齢が高くなりがちな中小企業では健康診断の後の対応もしっかり把握しておくことが重要です。
健診結果で「所見有り(異常あり)」が出た場合の対応は?
健康診断は「受けさせて終わり」ではありません。結果に「要精密検査」や「要治療」などの「所見」があった場合、会社は次の対応を行う必要があります。
医師からの意見聴取(必須) 結果に異常があった従業員について、就業を続けても大丈夫か、働き方を考慮すべきか、医師の意見を聞かなければなりません。
就業上の措置(必要な場合) 医師の意見を踏まえ、必要に応じて「残業を減らす」「出張を控える」「配置転換をする」といった、従業員の体を守るための措置をとります。
保健指導と受診勧奨 該当する社員に対し、再検査や専門医への受診を促します。
二次検査の費用負担はどうなる?
健康診断で「要精密検査」や「要再検査」となった場合の費用は、従業員(本人)に負担させても法律上問題ありません。
労務担当者様から非常に多くいただくご質問ですので、理由と注意点を分かりやすく解説しますね。
なぜ従業員負担でいいの?
法律(労働安全衛生法)で会社に費用の支払いを義務付けているのは、あくまで「定期健康診断」や「雇入れ時健康診断」といった、一律で行われる基礎的な検査(法定健診)までだからです。
その後の精密検査や再検査は、労働者個人の「病気の発見や治療」という医療行為の領域になるため、会社に費用を負担する義務はありません。そのため、一般的には以下の扱いになります。
検査費用: 従業員個人の負担(※通常の保険診療となります)
受診中の時間: プライベートな通院と同じ扱い(有給休暇や欠勤など)
ただし、「特殊健康診断」は別扱い!
例外として、有害な業務(放射線、特定の化学物質、著しい騒音など)に従事する従業員に行う「特殊健康診断」で二次検査(精密検査)が必要になった場合は、その費用も会社負担となります。ここは混同しやすいポイントですのでご注意ください。
二次検査のポイント
法律上は従業員負担で問題ありませんが、実務をスムーズに進めるために、以下の2点を社内にアナウンスしておくのがおすすめです。
「自己負担(保険診療)になる」と事前に伝える
「会社からの指示で精密検査に行くのだから、費用も会社が持ってくれるはず」と勘違いしてしまう従業員の方は少なくありません。 再検査の案内を渡す際に、「ここからの精密検査は通常の病院受診と同じ扱い(保険診療・自己負担)になります」と一言添えておくと、後々のトラブルを防げます。
福利厚生として「会社が一部補助」するのもアリ
「費用が自己負担なら、面倒だし行かなくていいや」と放置されてしまうのが会社としては一番のリスクです。 そのため、受診を促す目的で「再検査の費用は5,000円まで会社が補助する」「再検査の日は特別休暇(有給)とする」といった独自ルールを福利厚生として設けている企業様も増えています。
福利厚生としての「付加健診」を活用しよう!
最近では、“まずは予防!”という観点での福利厚生も注目を集めています。せっかく健康診断をやるなら、従業員に喜ばれる「福利厚生」としてグレードアップしてみませんか?そこでおすすめなのが、協会けんぽ(全国健康保険協会)などの「付加健診(一般健診に追加できる手厚い検査)」の補助制度です。
40歳や50歳といった節目の年齢の社員を対象に、国や健保から手厚い費用補助が出るため、会社は少ない負担で、人間ドックに近い充実した検査(胃カメラや大腸検査など)を従業員にプレゼントすることができます。
「うちの会社は社員の健康を大切にしているよ」というアピールにもなり、求人活動でのイメージアップや、従業員の定着にもつながるため、多くの中小企業様が導入を進めています。
社労士からのアドバイス
健康診断は、会社にとっては「法律上の義務」であり「コスト」と捉えられがちですが、実は「最大のリスク管理」であり「最高への投資」でもあります。
特に中小企業様の場合、万が一、大切な従業員が突然病気で倒れてしまったり、過重労働による健康障害が発生したりすると、業務が回らなくなるだけでなく、会社が安全配慮義務違反として大きな法的責任(損害賠償など)を問われるリスクがあります。
健康診断をしっかり行い、結果を労務管理に活かすことは、そうしたリスクから会社と従業員の双方を守るための防壁になります。また、「健康を気遣ってくれる会社」という姿勢は、従業員のエンゲージメント(愛着)を高め、結果として生産性の向上にもつながります。
賃上げ以外の『待遇改善』をお探しの会社様、まずは“充実した健康診断”を検討してみませんか!







