最低賃金の確認方法|自社の給与が下回らないかチェックする方法

最低賃金の確認方法とは?わかりやすく解説

全国各地で令和7年度最低賃金改正のニュースが飛び交っています。長崎県では12月1日より最低賃金が大幅引き上げの「1,031円」になる見通しです。最低賃金は、働くすべての労働者に適用される「賃金の最低ライン」を国が定めたものです。違反すると罰則もあるため、事業主は必ず確認し、従業員の給与が基準を下回らないようにしなければなりません。ここでは、最低賃金の確認方法をわかりやすく解説します。

1. 最低賃金には2種類ある

最低賃金には大きく分けて次の2種類があります。

  1. 地域別最低賃金

    • 都道府県ごとに設定される最低賃金です。各県によって額が異なります。

  2. 特定(産業別)最低賃金

    • 特定の産業(例:輸送用機械器具製造業、電子部品製造業など)に適用される最低賃金です。

    • 地域別最低賃金よりも高く設定されている場合が多く、該当する業種は特定最低賃金を優先して確認する必要があります。

    • 長崎県の特定最低賃金に関しては、令和6年度は改正がなく、地域別最低賃金の適用となっています。令和7年度の改正に関しては、現時点では未定です。

2. 最低賃金を確認する方法

(1)厚生労働省・労働局の公式情報

  • 厚生労働省のホームページでは、全国の最低賃金が一覧で確認できます。

  • 各都道府県労働局のサイトにも、最新の地域別・特定最低賃金が掲載されています。

👉 厚生労働省「最低賃金制度」ページ (現時点では令和6年度の情報です)

👉 長崎労働局「長崎県最低賃金の改正答申について」

3. 自社の賃金が最低賃金を下回っていないか確認する方法

ステップ1:時間額に換算する

最低賃金は「時間額」で定められています。
そのため、月給制や日給制の従業員については、必ず時間あたりの賃金に換算して比較する必要があります。

 (1) 時間給制の場合
  時間給≧最低賃金額(時間額)

 (2) 日給制の場合
  日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 (3) 月給制の場合
  月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 (4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
  出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

 (5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合
  例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。 

ステップ2:1か月の平均所定労働時間を確認する(月給制の場合)

1か月の平均所定労働時間の計算方法 : 1年間の所定労働時間数 ÷ 12か月

所定労働時間には時間外労働(残業時間)は含みません。

計算例(1日8時間・1週40時間を所定労働としている場合)

1年間は 365日(閏年は366日) あります。

  • 365日 ÷ 7日 = 52.1428週

  • 52.1428週 × 40時間 = 2,085.7時間(年間の法定労働時間)

これを12か月で割ると:

  • 2,085.7時間 ÷ 12 = 173.8時間(1か月平均)

👉 よって、1か月の平均所定労働時間はおよそ173時間45分とされています。

ステップ3:含まれる賃金・含まれない賃金を整理する

最低賃金との比較に含められるのは「基本給」「職務手当」「資格手当」などです。
一方で、以下は含まれません。

  • 時間外手当、休日手当、深夜割増賃金

  • 通勤手当

  • 精皆勤手当、家族手当

これらを誤って含めて計算すると違反になる可能性がありますので注意が必要です。

計算例(正社員・月給制の場合)

  • 月給:200,000円 (基本給16,000円 資格手当20,000円 通勤手当10,000円 皆勤手当10,000円)

  • 月の平均所定労働時間: 168時間 (2,016時間÷12か月)

  • 時間額 = 180,000 ÷ 168 = 約1,071円

この場合、最低賃金が1,031円であればクリアしています。

💡こちらも参考になります

🔗厚生労働省最低賃金制度ページ「あなたの賃金を比較チェック」

🔗厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」

4. 最低賃金を下回った場合の対応

もし自社の賃金が最低賃金を下回っていた場合、次の対応が求められます。

  1. 賃金の引き上げ

    • 最低賃金額以上となるように基本給などを見直す必要があります。

    • 労働者の合意あっても、最低賃金を下回ることはできません。

  2. 就業規則・賃金規程の改定

    • 賃金額を変更する場合、就業規則や賃金規程の改定が必要になることもあります。

  3. 従業員への周知

    • 改定後の賃金については、必ず従業員に明示してください。

5. まとめ

最低賃金は毎年見直され、地域や産業ごとに異なります。事業主は、

  • 最新の最低賃金額を厚生労働省や労働局で確認する

  • 自社の賃金を時間額に換算して比較する

  • 下回っている場合は速やかに賃金改定を行う

という手順で確認・対応することが大切です。

最低賃金を守ることは、企業の法令遵守だけでなく、従業員の安心や信頼にもつながります。当事務所では、最低賃金の確認や賃金制度の見直し、をサポートいたします。お気軽にご相談ください。

人事・労務のアウトソーシングは社労士へお気軽にお問い合わせください。

顧問社労士、会社就業規則作成サポート、給与計算の代行など
0120-841-105
相談予約受付時間:
平日9:00〜17:00