長崎県の最低賃金、12月1日から「1,031円」に改定 — 過去最大の引き上げ額
長崎県では、2025年12月1日から県内の最低賃金(地域別最低賃金)が 時給1,031円 に改定されることが、審議会の答申を経て決定されました。これは、現行の953円から 78円の引き上げ にあたり、過去最大の上げ幅となります。
🔗長崎労働局ホームページ:長崎県最低賃金を「時間給1,031円」に引上げ
引き上げに至る経緯・背景
長崎地方最低賃金審議会は、2025年9月2日の本会合で、学識経験者・労働者代表・使用者代表などから構成される委員によって審議を重ねました。最終的に、物価高や地域経済の実情などを総合的に考慮し、78円の引き上げを答申しました。
使用者側からは、事業コストの増大を懸念し、答申前の会合で抗議のため退席する動きもあったと報じられています。
この引き上げ額(78円)は、中央最低賃金審議会が示していた目安額64円を上回る水準であり、全国的にも高水準の改定となっています。
適用対象・注意点
この最低賃金改定は、長崎県内のすべての事業場で働く労働者(パート・アルバイトを含む)に適用されます。
業種別の「特定最低賃金」がある場合でも、地域別最低賃金と両方が適用されるときは、高い方の金額が優先されます。
月給制・日給制の従業員についても注意が必要で、実際に働いた時間換算で時給換算した額が最低賃金に満たない場合、賃金を見直す必要があります。
また、最低賃金の計算に際しては、時間外手当、深夜手当、通勤手当、家族手当、精勤手当、勤賞与、臨時手当などは原則として最低賃金に含めません。
改定日(12月1日)をまたぐ、給与計算期間の締めの取り扱いに関しては、改定後の勤務時間分を最低賃金で支払うように配慮が必要です。
企業・事業主への影響と対応
この改定により、賃金コストが上昇するため、特に中小企業や人件費比率の高い業種では影響が大きくなります。価格転嫁やコスト構造見直しが課題となる可能性があります。
一方で、最低賃金を引き上げることで、労働者の賃金増加→消費拡大→地域経済の活性化という好循環を期待する声もあります。
九州各県の動き
- 福岡 :1,057円(令和7年11月16日適用)
- 佐賀 :1,030円(令和7年11月21日適用)
- 熊本 :1,034円(令和8年 1月 1日適用)
- 大分 :1,035円(令和8年 1月 1日適用)
- 宮﨑 :1,023円(令和7年11月16日適用)
- 鹿児島:1,026円(令和7年11月1日適用)
- 沖縄 :1,023円(令和7年12月1日適用)
- (参考)東京:1,226円
- (参考)全国加重平均:1,121円
🔗厚生労働省ホームページ:令和7年度地域別最低賃金の全国一覧