どうなる?今年の最低賃金!令和7年度の改定ポイントと対応策
全国平均は1,118円へ!過去最大の引き上げ
2025年(令和7年)8月、中央最低賃金審議会は地域別最低賃金の引き上げ目安を以下の通り提示しました。
全国加重平均:1,118円(+63円、6.0%増)
目安額の引き上げとしては過去最大
東京・大阪など主要都市も+63円
長崎・鹿児島など地方では+64円
この目安に基づき、各都道府県の労働局での審議を経て、2025年10月以降に順次発効される予定です。長崎県の目安額は過去最高額の「64円」。例年、長崎県では8月末頃に地方審議会での結果が公表、最終的に9月には決定され、10月初旬からの適用となっています。
政府の方針とインフレ対応
今回の大幅な引き上げは、以下の背景を受けたものです。
物価高騰(特に食料・光熱費)
政府目標:2029年度までに最低賃金1,500円
賃上げによる消費活性化と経済成長戦略
目安額が反映となった場合、東京は1,163円 → 1,226円、長崎は953円 → 1,017円になる見込みです。
実質賃金は依然マイナス
2025年6月の厚労省統計によると:
名目賃金:+2.5%
消費者物価上昇率:+3.8%
実質賃金:▲1.3%減
このように、名目上の賃上げがあっても、実質的には生活が苦しくなっている現状があります。
中小企業への影響と懸念
大企業:春闘で5%以上の賃上げが進行中
中小企業:価格転嫁が進まず、人件費圧迫
約半数の企業が「1,500円の目標は非現実的」と回答
今後は、政府支援(生産性向上や業務効率化支援)なども併せて、実質的な企業支援が重要になります。
社労士からの実務ポイント
就業規則・賃金規程の見直し
地域別・業種別最低賃金の確認
月給制従業員の時給換算チェック
労働契約書・求人票の修正
発効日と給与締日・支給日のズレ対策
また、「産業別最低賃金」が適用される業種は、地域別最低賃金より高額になるケースもあり、注意が必要です。
今後の見通し
最低賃金1,500円の実現には、年間平均+60~70円の引き上げが必要
景気・物価動向とセットで今後の審議が続く見込み
中長期的には「賃上げできる企業体質」への転換が求められます。
さいごに
今年の最低賃金改定は、過去最大級の引き上げとなり、事業主・労働者の双方に大きな影響があります。
事業主の法令順守、リスク回避、労務管理の見直しに向けて、社労士サービスを活用してみませんか。