【よくある質問】社保加入は給与額で決まる?労働時間で決まる?
「給与が低いから社会保険は入らなくていいですよね?」
中小企業の経営者や労務担当者の方から、こうしたご質問をいただくことは少なくありません。
結論からお伝えすると、社会保険の加入は「給与額」ではなく、主に「労働時間・労働日数」によって判断されます。
今回は、誤解されやすい社会保険の加入基準について、改めて整理していきましょう。
社会保険の加入基準は「働き方」が基本
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入条件は、大きく以下の2つのパターンがあります。
① 正社員に準ずる働き方の場合
次の条件を満たす場合、原則として加入対象となります。
- 週の所定労働時間が正社員の 4分の3以上
- 月の所定労働日数が正社員の 4分の3以上
つまり、フルタイムに近い働き方であれば、給与の多寡に関係なく加入対象です。
② 短時間労働者(いわゆるパート・アルバイト)の場合
以下の要件をすべて満たすと加入対象になります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2か月を超える雇用見込み
- 学生でない
- 従業員数要件(企業規模要件)を満たす事業所
ここで初めて「給与額」が登場しますが、これはあくまで短時間労働者に限った追加要件の一つです。
なぜ「給与で決まる」と誤解されるのか?
実務上よくある誤解は、
- 「年収が○○万円以下なら入らなくてよい」
- 「月給が低いから対象外」
といった考え方です。
しかし、これらは税法上の扶養基準や、配偶者控除の話と混同しているケースが多いのが実情です。
社会保険はあくまで「労働条件」に基づいて判断される制度ですので、ここはしっかり切り分けて理解しておく必要があります。
令和8年4月改正:被扶養者の収入要件にも注意
さらに、見逃せないのが被扶養者の収入要件の見直しです。
令和8年4月からは、被扶養者として認定されるための収入基準について、制度の適正化が進められています。
基本的な考え方はこれまで通り、
- 年収130万円未満(一定条件あり)
ですが、働き方の多様化を踏まえ、
- 一時的な収入増の扱い
- 実態ベースでの判断強化
など、より実務に即した運用が求められるようになっています。
そのため、「一時的に収入が増えたらすぐ扶養から外れるのか?」といった判断については、個別の状況確認がより重要になってきます。
💡関連記事:【令和8年改正】被扶養者認定の新ルール|年間収入は「労働契約」で判断へ
中小企業が押さえておきたいポイント
最後に、実務上のポイントを整理します。
- 社会保険は給与額ではなく労働時間が基本
- パート・アルバイトでも条件次第で加入対象になる
- 税金の扶養と社会保険の扶養は別制度
- 被扶養者の判定は今後さらに実態重視へ
特に人手不足の中で多様な働き方が増えている今、誤った認識のまま運用してしまうと、後から遡及加入や保険料の追徴といったリスクにもつながります。
法人役員はどうなる?
法人の取締役などの役員は「労働者」ではないため、労働時間の基準は適用されません。
では何で判断するのかというと、
👉 「報酬があるかどうか」がポイントです。
- 役員報酬が支払われている → 原則、社会保険に加入
- 無報酬(完全ボランティア) → 原則、加入対象外
つまり役員の場合は、従業員とは逆に労働時間ではなく「報酬の有無」で判断されるのが特徴です。
なお、非常勤役員であっても、
- 定期的に報酬が支払われている
- 会社経営に実質的に関与している
といった場合には、社会保険の加入対象と判断されるケースが多いため注意が必要です。
社労士からのアドバイス
社会保険の加入判断や標準報酬月額の等級決定は、一見シンプルに見えて実は非常に奥が深い分野です。
「なんとなく給与で判断していた」という企業様は、この機会にぜひ見直してみてください。
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