事務所コラム「おススメの一冊」
「従業員の扱いが難しい」…そんな後継者の悩みに効く一冊『リーダーの仮面』
社労士としてお客様と接していると、特に最近多いのが「従業員の管理って難しいですね…」という声です。中でも、事業を引き継いだばかりの後継者の方や、若い経営者の方からの相談が増えています。「距離が近い分、どう注意したらいいのかわからない」とか、「相手の気持ちを考えすぎて、はっきり言えない」という話もよく耳にします。
そんなとき、私がぜひ一度読んでみてほしいとお勧めしているのが、安藤広大さんの『リーダーの仮面』です。
タイトルだけ見ると少し厳しそうな印象を受けるかもしれませんが、実は“リーダーが感情に流されず、公平な判断をするにはどうすべきか”を、非常に実践的に教えてくれる本です。「人を好きにならないのがやさしさ」「感情で動くのではなく、ルールで動く」といったメッセージは、一見冷たくも感じられますが、組織全体を守るための本質的な考え方だと感じます。
社労士の立場から見ても、制度やルールを公平に運用することはとても大切です。たとえば「仲のいい社員には注意しづらい」「頑張っている人だから遅刻も見逃したい」といった“感情ベースの対応”は、周りの社員のモチベーション低下や、社内の不公平感につながってしまいます。
この本では、「リーダーは自分の感情ではなく、組織全体のことを考えて行動するべき」という原則が、わかりやすく、かつ実際のシーンを交えて語られています。後継者の方が直面しやすい“先代との比較”や“古参社員との関係性”に悩んでいる場合でも、この本の考え方がきっとヒントになるはずです。
「やさしいけど、言うべきことは言う」——そんなリーダー像を目指す方にとって、『リーダーの仮面』はまさに指針になる一冊です。