令和7年度地域別最低賃金改定の『目安』が公表されました
令和7年度 地域別最低賃金改定の目安(厚生労働省発表)
厚生労働省の中央最低賃金審議会は、令和7年8月4日、地域別最低賃金額の 引上げ目安 を次の通り取りまとめ、公表しました( 厚生労働省)。
引上げ目安(都道府県ランク別)
都道府県の経済実態を踏まえ、A・B・Cの3ランクに分類し、引上げ額の目安を提示しています 。
Aランク(6都府県):埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪 → +63円
Bランク(28道府県):北海道・宮城・福島・茨城・栃木・群馬・新潟・富山・石川・福井・山梨・長野・岐阜・静岡・三重・滋賀・京都・兵庫・奈良・和歌山・島根・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛・福岡 → +63円
Cランク(13県):青森・岩手・秋田・山形・鳥取・高知・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄 → +64円
これにより、全国加重平均は 1,118円 となり、前年度比 +63円(6.0%) に上昇。目安制度開始以来、過去最高の引上げ額 です 。
都道府県別目安額の例
目安どおり改定されると仮定した場合の都道府県別目安額の例を下表で抜粋します:
都道府県 | 2024年度(現行) | 引上げ目安 | 2025年度目安(予測) |
---|---|---|---|
東京 | 1,163円 | +63円 | 1,226円 |
長崎 | 953円 | +64円 | 1,017円 |
この結果、全都道府県で時給が1,000円を超える 初のケースとなる見込みです 。
今後のプロセスと実務対応
地方最低賃金審議会にて答申:中央の目安を踏まえつつ、各都道府県の実情(賃金実態調査・参考人意見など)を考慮して答申が行われます。長崎県では例年8月末頃に地方審議会での結果が公表されます。
労働局長の決定・公示:最終的に都道府県労働局長が新しい最低賃金額を決定し、公示します。
適用時期:例年通り10月前後から適用開始予定ですが、今回は「審議会が柔軟に発効日を決定することが望ましい」との意見もあり、地域によって適用開始日が異なる可能性があります。
社労士からのアドバイス
目安は「速報」であること:最終決定までに若干の増減がある可能性があるため、正式確定後に就業規則や給与制度への反映を行うのが安全です。
自社所在地のランク確認:A・B・Cランクごとの引上げ額が異なるため、自社の適用ランクを確認。
月給制・パート・アルバイトの賃金確認:とくに労働時間数から時給換算し、最低賃金未満にならないようチェックが必要です。
求人票や労働契約書の修正:最低賃金未満の表記や契約は法的リスクがあるため、改定後の新水準への更新を行いましょう。
さいごに
令和7年度の最低賃金改定について、引上げ目安はA・Bランク63円、Cランク64円、全国平均では1,118円(+63円・6.0%)の想定で、全都道府県が時給1,000円以上に到達する見通しです。今後は地方審議会による最終決定後、自社の最低賃金チェック及び対応が重要となります。